『JAPANESE JOURNAL OF SOCIAL INCLUSION AND DIVERSITY』発刊趣意書

近年、わが国における国際的な人の移動は急速な進展を見せており、地域社会、教育現場、労働環境などあらゆる生活領域において、外国人住民の増加とそれに伴う課題が顕在化しております。これからの日本社会が持続可能な発展を遂げるためには、国籍や文化的背景の違いを超え、すべての人が尊厳を持って共生できる社会――すなわち、多様性(Diversity)、公平性(Equity)、社会包摂(Inclusion)が担保された「多文化共生社会」の実現が不可欠です。

このような背景のもと、公益財団法人橋本財団ソシエタス総合研究所では、多様な文化的背景を持つ人々が共に生きる社会のあり方について、その実態を把握するとともに、理論と実践の両面から探求すべく、新たな学術誌『JAPANESE JOURNAL OF SOCIAL INCLUSION AND DIVERSITY』を創刊することといたしました。

本誌の創刊号では、核心的なテーマとして

『社会的包摂の再構築
― 移動・脆弱性・制度の交差点 ―』

を掲げます。

今日、国境を越える移動は、言語・経済・文化・ジェンダーなどの複合的な要因により、制度上の権利が実生活において行使しにくい状況を広く生み出しており、既存の支援制度や法制度との間に多くの不整合や障壁をもたらしています。これらを単一の視点から捉えるのではなく、複数の要因が複雑に絡み合う交差点(インターセクション)として構造的に分析するとともに、社会的包摂が意味する範囲や問いそのものを時代の変化とともに絶えず問い直していく姿勢が、今まさに求められています。

本誌は、最先端の学術研究(論文)のみならず、NGO・NPOや地方自治体等の最前線における実態報告・活動報告(調査報告・実践報告)を広く包括し、活発で活力ある分析と言論の場を目指しております。国内外の幅広い読者・研究者へ知見を届けるため、オープンアクセスでの運営体制を整えるとともに、研究者・実践者・政策立案者が領域を越えてつながるネットワーク形成の場としても機能することを目指してまいります。

本誌の創刊が、多文化共生社会の実現、ならびに政策提言や地域社会の実践を力強く後押しする契機となることを願っております。何卒、本誌の趣旨にご賛同いただき、格別のご支援とご協力を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。

2026年6月

『JAPANESE JOURNAL OF SOCIAL INCLUSION AND DIVERSITY』編集委員会